INICIAR SESIÓN北都さん男の人になってる……!
えええ…どういうこと? ――リオナは混乱している! 「待て待て。北都、里緒菜さんが混乱しているだろう。ちゃんとお前が男だって説明したのか?」「いや、これから」
男!?
「里緒菜さん、北都はあんなナリして世間を騙しているが、本当は野太い怪力男なんだ。騙されるなよ?」
「コラ。もっと紹介の仕方があるだろうが!」
「ほんとうのことを言ったまでだ」
おおお…ケンカップルからいがみ合う男子たちになった……。
「とにかく。金ちゃんの店で借りるなら、レンタル代は100円しか払うつもりない。嫌なら賃料100倍だ」
「さっきより桁上がってるだろ。なんで賃料100倍も取られなきゃいけないんだ」
「嫌なら出て行ってもいいんだぞ。俺のビルみたいに安く貸してくれるところがあればいいけどな?」
「普通に昨日パーティーに着て行ったような感じで、普段使いとかデートに使えそうなセットを持ってきて」 北都さんがひと睨みして店内奥に金さんを追いやった。次に金さんが持ってきたのがまともなデート服だったので、ほっと胸をなでおろす。また変な服を持ってきたらどうしようかと思った。 彼(彼女?)の口添えもあり、モテデート服のコーデができあがった。ガーリーな仕上がりだ。デニムの袖にデニムスウェットを利用した、面白いデニムの7分袖トップス、ふんわりとしたコーラルピンクのティアードロングスカート、キャンバス生地の紺色スニーカー。私好みのカジュアルスタイルだけれども、お洒落! 金さんがいろいろ持ってきて中から北都さんが選んでくれた。「やーん、リオかわいい~♡」「いいじゃないか。馬子にも衣裳だ」 ひとこと余計な金さんのお褒めの言葉までいただき、デートコーデがこれで決まった。「あとはメイクだね。リオは美人なのにぜんぜんお化粧っけがないもんね。肌もキレイだし羨ましい~」 私は北都さんの方が羨ましいです! 時には女性、時には男性、変幻自在にどっちにもなれる正義の北都さんが…!「さあ、メイク術伝授するからしっかり覚えてね」「はい!」 北都さんの綺麗な指が私の頬に触れる。わぁ~ドキドキ! ベースメイクから基礎を教えてもらい、眉の描き方、ラインの引き方なんかを学んだ。これだけでかわいくなれそうな気がした。 ――リオナはホクトからメイク術を学んだ! ――リオナはメイクがうまくなった! ――リオナは”デートコーデの洋服”を手に入れた! ――リオナは女子力が大幅にアップした! ――リオナはレベルがあがった! なんだかんだと金さんと北都さんと一緒にいたので、買い物をして帰ったら夕方になっていた。明日に向けて準備だ…! ドキドキしながら迎えた夜。眠れないのかと思いきや、結構ぐっすり眠れたメンタルつよつよ女子の私。お洒落な服に身を包み、北都さん直伝のメイク術で
決戦の金曜日をこなし、準備の土曜日。大決戦の日曜日に向けて私は『なんでも売買屋』を訪れた。そして北都さんの協力を求め、彼女も適当に店に来るように頼んである。「いらっしゃいませ! …なんだ、里緒菜さんでしたか」 張り切って損したみたいな言い方をされ、お客として歓迎されていないと知る。「今日はお洋服買いに来たのに」「そうでしたか。それはそれは。ゆっくり商品を見て行ってください」 手のひらを返され、手厚い歓迎を受けた。わかりやすい人だ。「金さん、買い物の前にレンタルしたブローチを返します。データをこのUSBに入れてください。お買い物するから、データの移行料はサービスして欲しいです」 内臓カメラを仕込んだブローチを返却した。「いいでしょう」 よし! 後は北都さんが来てくれたら、諸々セットで1万円くらいで買えるはず。 しっかり似合ういい洋服選ぼう~っと♪――リオナは悪知恵が働くようになった! 洋服を見ていると、北都さんがやってきた。今日は女性の方だ。「やっほー、リオ。昨日はお疲れ♡」「北都さん!」「なんでお前がここに…」 金さんは嫌そうな顔をしている。「今日はさ、リオのために来たんだ。私のメイク術、明日のデートに備えて伝授しようと思ってね」「デート? ああ…なるほど」 金さんも私がバッキンとデートへ行くことをわかってくれたようで、こほん、とひとつ咳ばらいをした。「それで洋服を買いに来られたわけですね」「はい。デートで大成功する、いいお洋服を買いたいです」「オーケー。こうなったら腕によりをかけて、里緒菜さんが櫂君とのデートが成功する衣装を選んでみせようじゃないか!!」――カネナリが本気になった! 「これはどうだ!」(効果音:バーン)――カネナリはとっておきのアイテム”バニー
紀美さんとたくさんゲームトークして、別れて家に帰った。一人暮らしだから、多少遅くなっても誰にも文句言われないのは最高。 それにしても履きなれないヒールだったから、ちょっと足が痛くなった。お洒落は大変だなぁ。いつもカジュアルルックでスニーカーとかスリッポンを愛用している私からすると、ヒールは危険な履物だと思う。こけそうになるし。 バッキンに帰った報告を入れると、すぐに電話がかかってきた。『お疲れ』「あ、うん。ただいま」 バッキン、もしかして待っててくれたのかな? だったら嬉しい……!『変な男に口説かれなかったか?』「変というか…えっと、なんか、ゲームの話が合う人がひとりいたよ」『は? まさかマッチングとかしてない――』「ないない! ないから! バッキンと約束したよね? そんなことにはならないからって。私、約束は破らないよ」 食い気味で否定した。誤解されたら困るよ!!!!『そっか。大事なリオリオに変な虫がついたらって思ったら心配でさ。ごめん。なんか、過保護で』「ううんっ。心配してくれて嬉しいよ。ありがとう」――リオナは素直に気持ちを伝えた!――素直さがあがった!「それより、お局の残業放棄証拠の音声を手に入れたよ」『すげーな。やるじゃん、リオリオ』「それに、北都さんが男装して…っていうか、えっと…イケメンに変身してお局を攻略してくれたから、職場でバッキンが被害に遭うことがなくなりそうだよ」『さっき北都さんから聞いた。いろいろありがとう』「バッキンのためだもん! 私たち、仲間でしょ」『仲間ね。うん、まあ、そうだな…』 なんだか不服そうな声になった。あれ? バッキンは仲間じゃないの? 「ゲーム友達から復讐仲間になったじゃない。復讐って物騒だけどさ」『そうだな。うん』 バ
「えっと……それは……しょ、職場の人で…マサさんみたいにゲームの話ができる人で…今度デートするのですが……」 私はなにを喋らされているんだろう。「とにかく、すみません!」 いたたまれなくなって会話を強制終了した。「リナさん、ありがとうございました。あなたの好きな人とうまくいくといいですね」 素敵な笑顔を見せてくれた。「はい、頑張ります!」 なぜか応援してもらった。よし。次のデート頑張るぞ! ……って、あれ。なんか目的趣旨が変わってる! そういえばお局どうなった?(汗) 会場を見ると、お局はずっと聖さんにべったりだった。他はもうどうでもよくなったのだろう。これで聖さんに気持ちが傾けば、バッキンが解放されるよね。よかった。聖さんに感謝だ! 最後にマッチングのための用紙は白紙で提出し、紀美さんと合流して近所の個室居酒屋へ行った。ビールで乾杯して情報交換に入る。「北都さんのイケメンっぷりすごかったね~! 生の聖さん、あれで口説かれたら女性はイチコロだよ~」 紀美さんは上機嫌でビールを飲み、しみる~、と綺麗な顔を歪ませていた。「あ、紀美さん。例のゲーム、めちゃくちゃ面白いですね!」「復習クエスト? テスト版だから実体験を盛り込んだんだけど、面白いって言ってくれて嬉しいよ。リオリオの話もゲーム化するから教えてね」「えー。お局がモンスターで登場するなんて面白すぎます! 舞台が現代社会っていうのが親近感あっていいですね」「でしょ~? 大ヒットさせるために頑張るね! ああ~ビールおいしい~♡」 今まで切り詰め節約生活ばっかりだったから、外食なんてサイコー、と喜びをかみしめている。復習クエスト1のテスト版は紀美さんの実体験をゲーム化しているのか。紀美さんにここまで言わせるなんて、なんと恐ろしい伴侶だったのだろう。撃破できてよかったと心底思う。「今回潜入できて、とりあえずお局が部下に残業を押し付けて婚活パーティーを楽しんでいる証拠が撮れました」
「どうも」「はい、どうも」 なんだかぎこちない挨拶となった。 この人、雰囲気がバッキンに似てるな。低めの声もなんとなく…って、バッキンの恋病にかかりすぎだよ私!「僕、友達に連れてこられて、こんな会場初めて来たのです。どうにも慣れなくて」「実は私も初めてなんです」「そうなんですか。よかった」 彼はほっとしたように笑った。「あの…マサさんは海外の方ですか?」 気になったので聞いてみた。それにしては日本語がうまい。言葉尻に外国の方独特のイントネーションはない。「いえ。純日本人です。コスプレが趣味でして。これもゲームキャラというか…」「あー、わかります! ルクエストのアレクじゃないですか?」 人気RPGのスーツで戦闘をする金髪キャラだ。やっぱりそれ意識してたんだ~!「スーツ着てもできるコスプレにしました。わかってくださって嬉しいです」 なぜか話が合い、マサさんとゲームの話で盛り上がってしまった。そしてキンモンの話にも及ぶ。近くにお局もやってきたので、そっとスマートウォッチを彼女の傍に置いて撮影しておいた。 なんだかんだでゲームの話に花が咲いてしまい、グループトークができる時間いっぱいマサさんと話してしまった。その後フリートークに移ったのでスマートウォッチは回収し、さらにお局の傍にうまく貼りついて調査しようと思っていたら、間の悪いことに別の男性に話しかけられて捕まった。 彼は30代前半の職業エンジニアで、名札に『Taka』と書いてある人だ。髪の毛もオイルを塗りたくっている巨漢の男性。トークの時も自分のことばかり喋ってぐいぐい強引に来るタイプだったので苦手。 マシンガントークは止まらない。う~、うまく調査が…。話も面白くないし困った、と思っていたら再びマサさんが現れた。「リナさん。あちらに飲み物用意しておきましたよ。一緒に行きましょう」 うまく連れ出してくれたので、ほっと胸をなでおろす。「しつこい方でしたね」「ええ。困っていたので助かり
お局は普段とは全然違う柔らかい口調で、男性陣にべたべたしながら話しかけていた。ふっふっふ、私は知っている。アナタが毎週金曜日、残業するのが嫌で他の社員に自分の残業を押し付けている所を!! 私は一時的なヘルプでマーケティング部を手伝う時間が決まっているので、よほどのことがない限り残業はさせられないから、今日ここに来れたんだけどね! 内臓カメラ入りブローチでお局の様子を撮影。うまく撮れているかな。会話も撮っておきたいので近づいてみると、背が高く金髪の青い目をした男性に向かって、お局がきゃっきゃと話している。「マサさんはゲームがお好きでしたよね? 私も好きなんです」 マサと呼ばれた彼の黒いスーツのポケットのところに名札が付いている。呼ばれた通り『マサ』となっていた。このパーティーはニックネーム表示でもいいみたいだ。 但し、受付はしっかり身分証明書と本名を書かされた。これは詐欺やらを防止するためのようだが、初回から本名を名乗るのはハードルが高いので、名札にはニックネームを書いてもOKとのことだった。 ちなみに私は『リナ』と書いた。『リオナ』から『オ』を取っただけの単純なやつ。思いつかなかったという説もある。 お局の名札は『加藤佳子』となっている。さすが気合の入れ具合が違う。誰も本名書いてないのに。「加藤さんは、どんなゲームをなさるのですか?」 えっ。お局ゲームやるの!? そういえばさっき『私もゲーム好き』ってアピールしてたな。「えーっと…スーパーノリオブラザーとか」 有名なアクションゲームか。そのタイトルは初期版だから、最新版じゃなくてもっと古いヤツね。多分、キンモンとかはやってないだろうなぁ。「楽しそうになにを話されているのですか、佳子さん」 現れた男性を見てふきそうになった。北都さんだ!!「あ……聖(ひじり)さん……」 北都さんは『阿久尾聖(あくおひじり)』という偽名を使うというのは聞いていた。名札には『聖』と書いてある。「佳子さん、よかったら僕もお話しに混ぜてください」 ニコっと笑う北都さん(というか
その日、建真は結局帰ってこなかった。どうなっているのかはわからない。 一人の朝は平和だった。北都さんから連絡が入っていて、今日の夜に大吉で結果報告を受けることになった。 建真がいないと朝が楽。簡単に朝食を済ませ、空いている電車で会社に出勤。あー最高! 毎日こんな生活したい! すっきりいい気分で仕事がはかどった。多分スキルアップしていることだろう。 そして昼休み。改心した晴奈が、証拠をかき集めてくれたものをすぐ渡したいから会って欲しい、と建真との関係した証拠をUSBに収めたものを持って私を訪ねて来てくれたので、会社近くのカフェで落ち合った。
私の脳内で緊迫感のある戦闘BGMが流れている。 今日は不戦勝で証拠ゲットよ!!「ああ。ただいま」 建真は穏やかな返事を寄こしてきた。あれ。なんかいつもと違うな…。 もっとこう、ほら、いつもみたいに『お前となんかデキねえよ』とか『頭悪いな』とか、そういう類でガンガン攻めてきてよ~! そっちが来ないなら、こっちから行くわよ!!「あの…建真。今月生活費が足りなくて…用立てして欲しいんだけど」「いくら?」 んっ…なに、その返しは!? 思っていたのと違う…(汗)
「そんな……言っていいことと悪いことがあります!」「仕方ありません。妻が娘にそう教えているんです。家庭に僕の居場所はありませんから」 悲しそうに航大さんが俯いた。そんな、ひどいよ!!「航大さん。私もあなたが幸せになれるようにお手伝いします!」 夫を倒すお手伝いをしてくれる航大さんのために、私もひとはだ脱ぎたい。勇者として仲間のピンチを助けるのは当然のこと!「紀美さん、ありがとうございます。一人で家に帰っても居場所もなくて辛いですから、ここで時々愚痴を聞いて下さるとありがたいです。多分僕と妻はもう修復不可能です
「お届け物でーす」 来客を確認すると宅配便のドライバーだった。『山下』と名札の付いた宅配業者のお兄さんから荷物を受け取った。彼は帽子を取って会釈をしてくれる爽やかなお兄さんだった。どこかで見たことがある爽やか青年だけれども、どこで見たかな。思い出せない。うーん…確か彼も魔王とか呼ばれていたような気がする…。(わかる人ありがとう) …まあいいや。爽やか山下さんはとにかく建真とは大違いだった。 受け取った荷物を見てみた。品名はゴルフ用品。私から巻き上げたお金で買ったんだろうか。それとも私が必死に稼いだお金は、全部晴奈への貢ぎ物で消







